「桜湯」と聞くと、お祝い事に出される飲み物を思い浮かべる方が多いかと思いますが、今回はお風呂で楽しむ桜湯をご紹介します。桜湯の材料や作り方、さらには桜が持つ様々な効能を解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
桜湯とはどんなお風呂?
桜湯は文字通り桜を用いた薬湯です。薬湯とは傷や怪我を癒すのに役立つ入浴法であり、古くから多くの人に愛されてきました。
特に、江戸時代にはお風呂を楽しむ文化が庶民にも定着したことから、端午の節句の菖蒲湯や冬至の柚子湯といった季節の植物を使った薬湯が広く親しまれるようになりました。
桜湯は春を代表する薬湯であり、見た目も美しいことから昔から現在に至るまで人気を集めています。
桜湯というと、桜の花びらを浮かべるロマンティックなものを想像するかと思いますが、実は、薬効があるのは桜の樹皮のほうです。そのため、桜湯を楽しむ際は桜の樹皮を乾燥したものを主に使います。
桜湯の効能について
桜湯に使う桜の樹皮には、様々な効能があるとされています。実際に桜湯を作る前に、どんな効能があるのかチェックしましょう。
湿疹やじんましんへの作用
桜の樹皮にはフラボノイドのサクラニン、サクラネチン、ゲンカニン、グルコゲンカニン、ナリゲニンなどが含まれています。
これらの成分には消炎作用があるので、湿疹やじんましんなどの肌トラブルに用いられます。ただし、敏感肌の方はパッチテストをするなど注意しながら使ってくださいね。
打ち身や打撲などへの作用
桜の樹皮の消炎作用は、打ち身や捻挫などの炎症を鎮めるのにも有効とされています。桜湯にじっくりと浸かることで、怪我の痛みや腫れを徐々に取り除く効果が期待できるでしょう。
桜湯の作り方
それでは、桜湯の作り方をご紹介します。
まず、ソメイヨシノやヤマザクラ、オオシマザクラなどの樹皮を剝ぎ取り、細かく刻んで天日干しをしておきます。
漢方薬局などで売られている桜皮(おうひ)を活用すれば、天日干しの手間を省くことができますよ。
乾燥させた樹皮または桜皮(約50g)を布袋に入れたら、水が入った鍋に投入して15~20分間煮出しましょう。このとき使う布袋は、ストッキングや靴下でも構いません。
樹皮や桜皮をじっくりと煮たら、煮汁を布袋ごとお風呂に入れて桜湯の完成です。入浴中に布袋を揉むと成分がよく出るようになります。
最後に、雰囲気作りのために桜の花びらを浮かべるのもおすすめです。花びらを浮かべることで、見た目も美しい素敵なお風呂になりますよ。
桜湯作りの注意点3つ
とても簡単に作れるうえに、様々な効果が期待できる桜湯ですが、もしものトラブルを避けるためにはいくつかの注意点を押さえておくのが重要です。
ここからは、桜湯を楽しむうえでの注意点を3つご紹介します。
桜湯のエキスをきちんと洗い流す
湿疹やじんましんへの効果が期待できる桜湯ですが、桜湯のエキスを体に付着させたままだと、肌トラブルの症状が悪化する可能性があります。
症状は人それぞれですが、肌が弱い方は特に注意してください。桜湯を満喫した後は、必ずシャワーで全身をまんべんなく洗い流すことを心がけましょう。
残り湯を使用しない
お風呂の残り湯を洗濯に使う方も多いかと思いますが、桜湯を洗濯に使うのは避けましょう。なぜなら、桜湯の色が洗濯物に付着するおそれがあるからです。
桜湯を楽しんだ後は速やかに排水して、他の用途には使わないことをおすすめします。
公共の桜を傷つけない
公園や川沿いなどに咲いている桜は自治体の所有物であることから、許可なく持ち帰ったり傷つけたりすると罰則を受ける可能性があります。絶対にやめましょう。
桜湯作りで使う桜皮は漢方薬としても用いられるため、漢方薬局で手に入ります。また、生花店で桜が枝付きで販売されていることも多いので、チェックしてみてくださいね。
桜湯作りの際は、桜を傷つけることなくマナーを守ることを心がけましょう。
桜のお風呂を堪能しよう
今回は、桜湯の薬効と作り方をご紹介しました。
春の植物である桜を存分に楽しめる桜湯は、見た目が美しいだけではなく、様々な嬉しい効果も発揮してくれる優秀な薬湯です。肌トラブルや捻挫、打ち身などに悩む方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。
ただし、材料を手に入れる際は、公共の桜を持ち帰らないように注意しましょう。生花店や漢方薬局で桜や桜皮を入手して、マナーを守って桜湯作りを楽しんでくださいね。